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2026/10/15

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【SAP ABAP研修事例】未経験から3ヶ月でABAPによるチーム開発へ 新卒3名の成長と指導の工夫

プログラミング未経験の新入社員が、3ヶ月間でどこまでABAPを学び、どのように開発の業務へ近づいていくのか。

本コラムでは、文系出身の新入社員Aさんの視点から、SAPやABAPの基礎学習に始まり、設計書の作成、プログラムの実装、テスト、そして同期3名で挑む模擬開発演習までの道のりをご紹介します。

新入社員研修は、技術を覚えることだけが目標ではありません。分からないことを整理して質問する、作業時間を見積もる、進捗を報告する、相手に伝わる資料を作るといった、配属後にも必要になる力を身につけていきます。

本文の一人称の語りや会話は、研修の流れを伝えるために再構成した表現です。学習の進み方や到達度には個人差があります。

0.はじめに

本コラムの設定・シチュエーションは以下の通りです。

設定事項内容
受講者同じ会社の新卒社員3名(全員ABAPは未経験)
※ハイブリッド受講(週3日はスクールに登校、残り2日は自社からリモート参加)
研修の目的ABAP開発の基礎と、問題解決・報連相・計画管理・説明の力を身につける
受講コース・期間ABAP総合3ヶ月コース・3ヶ月間
主な学習内容SAP概要、ABAP概要、コンポーネント概要、ABAPディクショナリ、ABAPプログラミング、CDS View、OData、Fiori、ABAP開発の流れ
最終演習3名で取り組む5日間の模擬開発演習

1. SAP ABAP開発基礎|処理の流れを考え、質問する力を身につける

最初の1ヶ月は、SAPとABAPの概要やプログラミングの基礎、処理を順序立てて考える方法を学びます。

研修が始まった頃の私は、プログラミングの経験がない文系出身の新入社員でした。「SAPとは何か」「ABAPは何に使う言語なのか」という基本から学べるのはありがたかったものの、初めて聞く用語の多さに、ついていけるだろうかと不安もありました。担当講師が初日の説明や毎日のライブ講義で明るく分かりやすく教えてくれたので、少しずつ緊張がほぐれ、学習に集中できるようになりました。

最初は、画面に並ぶ項目や教材の用語だけで気後れしました。業務システムとしてのSAPと、その中で独自の処理を実現するためのABAPとの関係も、頭では聞いていてもすぐには結びつきませんでした。講義の後、担当講師に確認してもらいながら自分の言葉で「何をする仕組みなのか」を一文にまとめてみると、理解できていない部分がはっきりしました。そこで、分かったつもりのまま先へ進まないことを心がけました。

ABAPの構文は英語をベースにしているものの、さまざまな種類が次々に登場し、覚えるのが大変でした。特に戸惑ったのは、イベントに応じて処理を記述する考え方です。どのタイミングで何が実行されるのかを意識しないと、コードの意味を追いきれません。また、DATAやTYPEを使う宣言でも、単一項目、構造、内部テーブルで書き方や保持するデータが異なります。構文を覚えるだけでなく、何のためのデータなのかを考える必要がありました。

宣言の練習でも、画面に値が一つ表示できただけで喜んでいた頃から、複数のデータを扱う課題になると一気に難しく感じました。似た名前の変数を何となく使い分けてしまい、構造なのか内部テーブルなのかを区別できず、値を格納する先を勘違いしたこともあります。書き直す際には、変数が表す内容やデータのまとまりを紙に書き出してからソースコードを直しました。遠回りに思えましたが、その方が後で見直すときに迷わずに済みました。この経験から、命名規則を守ることの大切さを痛感しました。

繰り返し処理やサブルーチン、フィールドシンボルに進むと、頭の中だけで動きを想像するのはさらに難しくなりました。そこで担当講師に質問すると、すぐに正解を示すのではなく、「ここではどのデータを参照していると思う?」と確認しながら、処理の流れを図に描いて説明してくれました。自分で考えたことと実際の動きを照らし合わせるうちに、少しずつ理解がつながっていきました。

講師の説明を聞く間、以前の私は「なるほど」とうなずくだけで終わりがちでした。しかし、自分で処理を最初からたどるように促されると、途中で理解が止まっていることが分かります。繰り返し処理なら、最初の一回と次の一回でどの値が変わるのかを追い、フィールドシンボルなら何を参照しているのかを確認しました。答えを聞く前に予想して確かめることが、少しずつ習慣になりました。

質問は専用のシステムから送ります。通学日は対面で、リモート日はZoomを通して対応してもらえるので、どちらの日も画面を見ながら具体的に相談できました。週3日の通学と週2日のリモートという形でも、質問のしやすさに大きな違いを感じずに学習を進められたのは心強かったです。

また、最初の頃はシステムで質問内容を書く際に、「○○が動きません」というような簡潔な内容しか書けず、担当講師に口頭で状況を補足しながらやり取りすることが多く、解決に時間がかかってしまうこともありました。そこで、困った現象だけでなく、実行した操作、期待した結果、実際の結果を整理して質問を送るようにしました。説明中に画面を一緒に確認できるため、どこが問題になっているかも共有しやすく、早い段階で適切な対処法にたどり着けることが増えました。そうしてまとめていくうちに、質問する前に自分で解決できることも少しずつ増えていきました。

※当スクールの特徴:通学とオンラインで同等の研修体験を
この段階で重要なのは、受講生Aさんが「分からない」と感じている箇所を具体化することです。
講師は問いかけを通して受講生が確認すべき箇所を絞り込めるよう支援するとともに、自分の状況を整理して質問する方法も指導します。
神田ITスクールでは、ZoomやSlackなどを活用し、通学時とオンライン時のいずれも質問や指導を受けられる環境を整えています。
また、通学・オンライン問わず質問への回答は口頭での説明を基本としており、受講生と認識を丁寧にすり合わせながら対応しています。

同期とのやり取りも大きな支えでした。日報を提出した後には、Bさん、Cさんと進捗や難しかった箇所を話します。自分では正しく読んだつもりの仕様を、実は勘違いしていたこともありました。理系出身のBさんがソースコードの処理を順序立てて説明する姿は分かりやすく、私も「どう説明すれば相手に伝わるか」を意識するようになりました。Cさんの別の着眼点にも助けられました。

同期との話し合いでは、同じ課題でも着目する場所が違うことに驚きました。私が実行結果ばかり見ていると、Bさんは処理の順番を確認し、Cさんは教材の指示と照らして条件を読み直す、といった具合です。誰かの説明を聞いた後、私も理解した内容を言い直してみると、まだ曖昧な部分が見つかります。答えを教え合うだけではなく、考え方を交換する時間になっていました。

技術面だけでなく、日報の書き方でも学びがありました。最初は課題や翌日の予定を短く書きすぎて、何に困っているのかが伝わらなかったのです。講師から「取り組んだこと、残った課題、次にどうするかを具体的に」と助言をもらい、翌日から書き方を見直しました。すると上司から「とても良くなった」と声をかけてもらえました。相手が状況を判断できる報告にすることの大切さを、早い段階で実感しました。

日報を改善するときには、「難しかった」で終わらせず、どの課題のどの段階で時間がかかったのかを書き添えるようにしました。翌日の予定も、単に「復習する」ではなく、確認したい箇所を具体的に記載します。報告を書くために一日の作業を振り返ると、自分でも進歩や課題を整理できました。最初は提出するための作業だと思っていた日報が、次の日の行動を決めるための道具に変わっていきました。

ABAPの基本構文を一通り学んだ後は、総合演習で一つのプログラムを形にし、発表会に臨みました。それまで別々に練習していた知識が一つにつながったことがうれしかったです。発表準備では3人で説明の内容を確認し合い、自分だけでは思いつかなかった表現も取り入れました。初めはコードを読むだけで精いっぱいだった私が、人に説明する段階まで進めたことに、小さな自信を持てました。

発表会の前には、作ったプログラムを動かすことと、その仕組みを説明することは別の難しさがあると感じました。動作の順番を自分で追えているつもりでも、人に伝えるには前提から話さなければなりません。説明が長くなりすぎた部分は同期に聞いてもらい、何を入力し、どのように処理し、どんな結果になるのかという流れに整理しました。本番を終えたときは、完成したこと以上に、質問を受けても考えながら話せたことがうれしかったです。

2.  S/4HANA基礎・応用|CDS ViewとOData・Fiori

2ヶ月目の前半は、S/4HANAに関わる仕組みとしてCDS View、OData、Fioriを学びます。

ABAPの基礎で少し手応えを感じていたところに新しい技術が登場し、また覚えることが増えたと感じたのを覚えています。一方で、同じデータを扱うにもさまざまな方法があることを知り、学習の面白さも広がりました。

EclipseとSAPの開発環境を使ってCDS Viewを作成する中で、これまで学んだABAP SQLと似た部分がある一方、データの扱い方やABAPプログラム側の処理の組み立て方に違いがあると分かりました。単に新しい構文を覚えるのではなく、「どこで何を処理するのか」を考え直すきっかけになりました。

CDS Viewでは、同じデータを取得するという目的でも、記述する場所や考え方によって実装の姿が変わります。最初はこれまでのABAP SQLの感覚で読み進めて戸惑いましたが、教材の例を比べながら、どの情報を取り出し、後の処理にどう渡すのかを意識しました。単に動作したかどうかだけでなく、なぜその方法で記述するのかを自分の言葉で説明する練習にもなりました。

ODataを学んでからFioriの画面作成に進む際に、フレームワークという考え方に初めて触れました。少しの記述で画面の見え方が大きく変わることに驚き、「こんな仕組みがあるんだ」と素直に感心しました。ただし、記述が一部抜けているだけで期待した動作にならないこともあります。ほとんどは記述の抜けや入力ミスといった小さな誤りでしたが、自分ではなかなか原因を見つけられず、講師の助けを借りて確認した場面もありました。

Fioriの演習では、記述を修正して画面を確認するたびに変化が見え、学習の楽しさを感じました。一方で、思い描いた表示にならないと、どこから確認すべきか迷います。見た目だけに気を取られず、参照するデータや設定の記述を一つずつ確認し、変更した箇所を記録するようにしました。結果が変わった理由を追えるようになることが、次の課題への自信につながりました。

以前なら、動かなかった時点ですぐに質問していたかもしれません。この頃からは、エラーの内容や記述箇所を確認し、どこまで分かっていて何を確かめたいのかを整理してから相談するよう心がけました。講師もデバッグ機能や図解を使い、原因を自分で追うための手掛かりを示してくれました。見落としを減らすには経験が必要だと感じながらも、調べ方そのものが少しずつ身についてきました。

一方、日報に記入する作業時間の見積もりは再び難しくなりました。ABAP基礎では実績と予定の差が小さくなっていたのに、新しい内容に変わると時間が読めなくなったのです。見積もりが外れた理由を振り返り、初めての作業には調査や確認の時間も必要だと意識するようになりました。 見積もりについては、作業に取りかかる前の予想と、終わった後の実績を比べることを意識しました。「簡単そう」と感じた作業でも、新しい画面や設定を調べる時間が必要になることがあります。逆に、前に似た課題を経験していると予定より早く進むこともありました。差が生まれた理由を日報に残すと、作業の難しさだけでなく、自分の理解度や癖も把握しやすくなりました。

※当スクールの特徴:質問に至るまでの確認手段を増やす
処理やロジックが複雑になってくるにつれて、確認箇所も増えていきます。
受講生がより効率的に原因を調査・確認できるよう、質問対応の際にもデバッグ機能や図解を活用し、処理の流れを自分で追えるように指導しています。

3. ABAP応用①|開発の流れ(汎用モジュール、レポートプログラム)

2ヶ月目の後半は、複数のプログラムやオブジェクトで構成された機能群を作成するアドオン開発の流れを、プログラムだけでなく設計書などのドキュメント作成も併せて学習していきます。ABAP応用①では以下の機能を作成します。

課題内容
チェック処理実装機能:汎用モジュールの作成
成果物:基本設計書、詳細設計書、ソースコード、単体テスト仕様書、単体テスト結果報告書
DB一括登録処理実装機能:SAPサーバ上のCSVファイルを読み込み、チェック処理を実施の上、アドオンテーブルに登録する
成果物:基本設計書、詳細設計書、ソースコード、単体テスト仕様書、単体テスト結果報告書
DB更新処理実装機能:選択画面で入力した情報を元に、アドオンテーブルの情報を取得・更新する
成果物:基本設計書、詳細設計書、ソースコード、単体テスト仕様書、単体テスト結果報告書

2ヶ月目の後半からは、単独の練習問題ではなく、複数のプログラムやオブジェクトを組み合わせたアドオン開発の流れを学びました。要件定義の内容を読み、設計書を作り、実装し、テストするという一連の作業です。これまで「動くコードを書くこと」が中心だった私には、開発前に内容を整理して文書に残す工程が新鮮でした。

最初は、提示された要件定義から基本設計書や詳細設計書を作成しました。フローチャートと処理詳細を書き起こしてみると、頭の中で分かったつもりだった処理を、誰かが読んで理解できる形にするのは難しいと感じました。課題提出後に同期と取り組み方を共有した際、Cさんの資料では手順や条件が分かりやすく整理されていたので、私も説明の順番や表現を参考にしました。

設計書の作成では、必要な処理が頭の中でつながっていても、文章にすると条件が抜けたり、読む人によって解釈が分かれたりすることに気づきました。フローチャートに分岐を描いてから処理詳細を読み返し、「どの条件のときに、どこへ進むのか」が一致しているかを確認しました。BさんやCさんの資料と見比べた際に、同じ内容でも順序や表現を工夫するだけで理解しやすくなることが分かりました。

アドオンテーブルを準備するため、ABAPディクショナリでドメインやデータエレメントなどのオブジェクトを登録する作業も行いました。基礎で学んだ内容を実際の開発の流れの中で使うことで、それぞれの役割を復習できました。一つひとつの作業がつながり、少しずつ全体像が見えてきた気がしました。

ドメインやデータエレメントを用意するときも、名前が似たオブジェクトを混同しないように注意しました。最初は画面上の作業手順を追うだけで精いっぱいでしたが、後からプログラムで使うことを考えると、一つひとつの設定に意味があります。どのオブジェクトが何に関係するのかを整理しながら進めるうちに、基礎編で学んだ知識が実務に近い課題へつながっていると感じました。

ただ、汎用モジュールの作成時には、汎用グループの有効化を忘れてしまい、思うように進まない場面がありました。講師に状況を伝え、確認すべき箇所を一緒に整理してようやく解決しました。コードだけを見ていても解決できない問題があること、関連するオブジェクトや手順まで把握する必要があることを痛感しました。

このときは、目の前のコードに間違いがあると決めつけて何度も読み直していました。講師に状況を説明する中で、関連するオブジェクトの状態も確認する必要があると気づきました。原因が分かった後には、単に手順を覚えるのではなく、「次に同じ現象が起きたら何から確認するか」を自分で書き留めました。解決までの考え方を残しておくことが、同じところで立ち止まらないために大切だと思いました。

レポートプログラムを書くこと自体には慣れてきましたが、処理をサブルーチンに分けたり、インクルードに切り出したりする判断はまだ意識が必要でした。処理の役割や構成を意識せずに書き進めると、メインの処理にすべて詰め込んでしまいそうになります。設計の段階で役割ごとの切り分けを考えておけば、後から見直すときにも分かりやすい。実装前の準備が、実装のしやすさに直結するのだと学びました。

処理の切り分けを考える際には、書きやすさだけでなく、後で別の人が読む場面も想像するようになりました。同じような処理が何度も現れたり、一つの場所に多くの役割が集中したりすると、修正する箇所を探すだけでも時間がかかります。設計書の段階で処理の役割を整理しておけば、コードを書くときの迷いも減らせるはずです。最初は手間に感じた準備にも、意味があると実感しました。

技術面で学ぶことが増えていく一方で、自分の学習状況を振り返る機会もありました。この時期、週次面談では研修の進み具合だけでなく、日々の過ごし方や気になることも聞いてもらいました。担当講師とは別の方に話せる場があることで、少し気持ちを整理できました。技術を学ぶ時間だけでなく、自分の状況を振り返り、今後の課題と向き合う時間も大切だと感じました。 面談で「最近うまくいったことはありますか」と尋ねられたとき、難しかった課題ばかり思い浮かべていた自分に気づきました。振り返ってみると、以前より質問内容を整理できたり、日報の見積もりを工夫できたりと、少しずつよい変化もあります。相談相手が増えることで、すぐに技術的な答えが出るわけではありません。それでも、できていることと次に努力することを落ち着いて考えられるのは心強い経験でした。

4. ABAP応用②|開発の流れ(ALVと修正)

3ヶ月目はABAP応用の後半として、ALV帳票出力処理の作成と、これまで作成した処理を組み合わせた結合テスト、仕様変更に伴う修正作業を体験します。

課題内容
ALV出力処理実装機能:アドオンテーブルの情報を取得し、ALVの汎用モジュールを利用して帳票出力をする
成果物:基本設計書、詳細設計書、ソースコード、単体テスト仕様書、単体テスト結果報告書、結合テスト仕様書、結合テスト結果報告書
国コードの追加作業内容:これまで作成したアドオンテーブル、プログラムに国コードの観点を追加する
成果物:基本設計書、詳細設計書、ソースコード、単体テスト仕様書、単体テスト結果報告書、結合テスト仕様書、結合テスト結果報告書

ABAP応用の後半として帳票出力、結合テスト、仕様変更に伴う修正を経験しました。以前よりも設計書やコードの作成が迷いなくできるようになり、少し成長を実感していました。ただ、実際に複数の機能を組み合わせると、別の難しさが見えてきました。

ALVを使った帳票出力や関連資料の作成は、これまでの知識を応用して比較的順調に進められました。一方、結合テストでは、テストデータの準備や各画面の実行結果を示すエビデンスの比較が必要です。機能ごとに動いていても、組み合わせたときにデータの整合性が保たれるとは限りません。スクリーンショットを取得する際にも、必要な情報が見切れていたり、文字がつぶれて読みにくかったりすると、テスト結果を確認しづらく、エビデンスとして十分に活用できません。確認の観点をそろえ、見やすく結果を残すことの重要性を改めて感じました。

結合テストの準備では、正常に動く条件だけを考えてしまいがちな自分に気づきました。入力するデータを変えた場合や、ある機能で更新した内容を別の機能で参照する場合も想像し、何を確認するためのテストなのかを整理しました。結果が予想と違ったときは、操作を再現できるように手順と画面の記録を見直します。「動いた」という感覚だけではなく、確認した根拠を他の人に示すことが重要なのだと思いました。

表示項目を追加する演習では、最初に頭の中で思い浮かべた修正箇所より、実際に見直すべき箇所が多くありました。画面やプログラムだけではなく、データ定義や設計書、テスト仕様書も確認しなければなりません。思いついた場所だけを直して終わりにするのではなく、仕様全体を見て影響範囲を洗い出す必要があると学びました。この経験から、修正箇所を考える際には、追加する項目がどこで使われ、どの処理を通り、どのテストに関係するのかを、設計書と照らし合わせて確認するようになりました。変更する箇所を列挙するだけでなく、その理由も整理しておくことで、修正漏れを防ぎやすくなると感じました。新しい機能を作るだけでなく、既存の機能を安全に変更する難しさを学べた演習でした。

そんな頃、帰社日に受けた社内面談で、研修後はロジスティクス系のモジュールに関わる部署へ配属される予定だと聞きました。ABAPの基礎には以前より自信がついていたものの、その業務領域については研修で深く扱っていません。少し不安になりましたが、上司と講師にフォロー講座やeラーニングについて相談してみました。その結果、配属後の早い時期に学べるよう調整してもらえることになり、安心するとともに、必要な学習を自分から相談できたこともうれしかったです。

配属先の話を聞いた後は、「研修が終わればもう勉強しなくてよい」という考えが現実的でないことにも気づきました。今まで学んだABAPの知識は土台になりますが、業務ごとの用語や流れを知らなければ、コードの意味を十分に理解できない場面もあると思います。分からないことを抱えたままにせず、今の自分に必要な学習を周囲に相談して実践することも、社会人として大切な行動だと感じました。

5. 模擬開発演習|要件定義から発表までを経験

最終演習では、複数プログラムで構成されたアドオン機能群をチームで開発します。
ここで目指すのは、研修で学んだ基礎知識を組み合わせることと、周囲と相談・協力しながら開発を進める経験を積むことです。
本演習を通して、顧客役へのヒアリングから設計、実装、テスト、成果発表までを経験します。

工程取り組み・成果物
要件確認・設計顧客役へのヒアリング、要件・設計のレビュー、画面レイアウト案作成
実装機能ごとに分担してソースコードの作成・統合
テスト各機能の結合テストケース作成と実施
発表発表資料の作成、リハーサル、上司や参加者からの質問への回答

最後の5日間は、同期3人でアドオン機能群を開発する模擬演習です。顧客役へのヒアリング、要件定義、設計、実装、テスト、発表までをチームで進めます。学んだことを使える機会が楽しみな反面、限られた時間で完成させられるのか、正直なところ緊張の方が大きかったです。

これまでの演習では、課題の条件が教材に示されている場面が多くありました。ところが今回は、必要な情報を顧客役から確認し、チームとして判断しなければなりません。誰か一人が頑張れば完成するものでもなく、相談の仕方や資料のそろえ方まで問われます。開始前に3人で大まかな流れを確認し、迷ったときは早めに共有しようと話しました。

1日目:顧客との打ち合わせ・要件定義

初日は、初めて顔を合わせる顧客役講師との打ち合わせから始まりました。相手が求めていることを正確に聞き取れるか、失礼のない受け答えができるかと、開始前から緊張していました。打ち合わせでは、分からない点を曖昧なままにせず確認することを意識しました。レビューの時間調整メールも、宛先や表現、必要な情報がそろっているかを確かめて送信しました。

打ち合わせで質問するときには、思いついた順に聞くのではなく、まず自分たちが理解している内容を伝えてから確認するようにしました。相手の説明にうなずいただけで理解したつもりになると、後で認識が食い違うかもしれません。言葉の意味や画面の利用場面を確認し、メモを取った内容を3人で見直し、議事録に書き残しました。技術の話に加えて、相手が安心して話せるような受け答えも意識する必要があり、普段の演習とは違う緊張感がありました。

打ち合わせ後は、Bさんが要件定義書をまとめ、CさんがWBSを使って作業の見積もりと計画を整理してくれました。私も内容を確認し、認識がずれていないか意見を出しました。担当講師が資料をチェックしてくれたことで、次の工程に向けて安心して準備できました。 要件定義書とWBSを確認するとき、私は自分の担当だけを見るのではなく、前後の作業のつながりも追うようにしました。設計の開始には何が決まっている必要があるのか、確認が遅れると誰の作業に影響するのか。短い期間だからこそ、互いの予定を理解することが重要です。BさんとCさんが整理してくれた内容に自分の気づきを加え、3人で一つの計画にする意識を持ちました。

2日目:要件定義レビュー・設計

顧客役とのレビューでは、時間内に要件の認識合わせができました。特に気がかりだったビジネスマナーについても問題ないと評価していただき、ほっとしました。
ところが午後、担当講師に進捗を報告しているときに、一つの作業について担当者が明確になっていないことが判明しました。口頭では共有したつもりでしたが、WBSに反映されておらず、3人の間で認識がずれていたのです。3人で改めて担当と期限を確認し、計画を更新しました。「話した」だけでは共有したことにならない。チームで作業するには、決定事項を記録し、全員が同じ情報を見られる状態にすることが欠かせないと感じました。

この認識違いが発覚したとき、最初は「さっき話したはずなのに」と焦りました。しかし、それぞれが別の理解をしていた以上、誰か一人の記憶だけを頼りに進めるわけにはいきません。WBSに担当と期限を書き込み、その場で全員が確認するようにしました。作業そのものは大きなものではなくても、情報共有の方法を変えるきっかけになりました。

3日目:製造

実装はおおむね順調に進んでいましたが、要件定義から設計書へ落とし込む際に表示項目を一つ漏らしていたことが分かり、設計の修正からやり直すことになりました。小さな見落としでも後工程に影響するのだと身をもって知りました。以降は、要件と設計、実装の対応をメンバー同士で確認するようにしました。

表示項目の漏れが見つかったときには、コードだけを修正すればよいわけではありませんでした。要件定義に戻って必要な項目を確認し、設計書のどこに記載すべきかを見直してから実装へ反映しました。完成に近づいていると思っていた分、戻る作業には焦りもありましたが、急いでつぎはぎの修正をするより、元の資料から整える方が結果的に安心できました。

難しい機能で手が止まったときには、担当講師が進捗確認の中で処理の流れや構文の考え方を助言してくれました。答えをそのまま受け取るのではなく、どこでつまずいたのかを説明してからヒントをもらうことで、自分たちで修正につなげられました。

相談の際には「動きません」とだけ伝えるのではなく、想定している処理、試したこと、どの時点で結果が変わったかを説明するようにしました。説明している途中に、自分たちの思い込みに気づくこともあります。講師のヒントを受けてからもう一度手を動かすと、単に直ったという達成感だけでなく、原因を突き止めた手応えがありました。

4日目:テスト・発表準備

製造が無事に終わり、テストケースの洗い出しと動作確認に入りました。2日目の反省を生かし、誰がどのテストを担当するかを口頭で確認するだけでなく、WBSにも反映しました。進捗と結果を共有しながら確認を進めたことで、担当の抜け漏れを防ぐことができました。

テストを始める前には、どの結果なら正しいと言えるのかを確認しました。実行できたというだけでは、必要な条件がそろっているかどうか分かりません。担当を分けた後も、互いの結果を確認し、気づいた点を共有しました。2日目にWBSの記載漏れで戸惑った経験があったからこそ、今回は予定と実績をこまめに照らし合わせられたと思います。

発表資料は、テストを早く終えたメンバーから順に内容を追記・修正しました。開発した機能をただ並べるのではなく、目的や工夫した点、苦労した点が伝わる順番を相談し、見やすい資料に仕上げました。残り時間は少なかったものの、3人で一つの成果物を整えていく手応えがありました。

発表資料作りでは、全員が自分の担当機能だけを詳しく話すのでは、システム全体の流れが伝わりにくいと気づきました。そこで、目的を説明してから各機能の役割を示し、最後に連携の仕組みや苦労した点を振り返る順番にしました。発表時間を意識して文章を短くし、図や画面を使う場所についても相談しました。まとめ直す過程で、私自身の理解も整理されました。発表で実演する予定の機能についても動作を確認し、問題なく動いたことで、3人で胸を撫で下ろしました。

5日目:リハーサルと最終発表

午前中は発表のリハーサルです。研修開始時は人前でコードを説明するだけでも精いっぱいだったのに、今は何を作り、なぜその作り方を選び、どこで苦労したのかを自分の言葉で話せるようになっていました。ただ、実際にリハーサルで通して話してみると、用意した文章をそのまま読むと説明が硬くなることが分かりました。画面を示しながら要点を話し、聞き手に注目してほしいポイントを意識すると、少し落ち着いて説明できます。同期から「その言葉は初めて聞く人には分かりにくいかも」と指摘され、専門用語を言い換えた場面もありました。3人で意見を伝え合えるようになったこと自体、最初の頃からの変化でした。

発表会では、参加した上司の方々からの質問にも、学んだことを思い出しながら答えられました。ただ、「このシステムをいくらで売るとしたら?」と聞かれたときは、すぐに答えられませんでした。私たちは機能や工数には意識を向けていましたが、人件費や開発コスト、提供する価値を金額として捉える視点が足りなかったのです。

価格について答えられなかったときは悔しさもありましたが、同時に、自分たちが開発する側の視点に偏っていたことを知る機会になりました。作業に時間がかかれば、その分だけ費用が生じます。それでも、単に安く作ればよいわけではなく、使う人にどのような価値を届けるかも考える必要があります。質問を受けて初めて、技術的に正しいものを作るだけでなく、品質・時間・費用のバランスを考えることも、仕事では求められるのだと学びました。今回の質問を通して、技術的に正しいものを作るだけでなく、品質・時間・費用のバランスを考えることも、仕事では求められるのだと学びました。配属後は、自分の作業時間にもコストがかかっていることを意識し、技術だけでなく仕事全体を見て行動したいと思いました。

6. 総括|研修前後で変わったこと

3ヶ月前は、ABAPの構文はもちろん、プログラムがどのような順番で動くのかも分かりませんでした。今は、条件やデータの流れを整理して考え、設計書をもとに実装し、テストで確かめるという一連の作業を経験しています。まだ一人で何でもできるわけではありませんが、分からないことを分解し、確認しながら前に進めるようになりました。

研修の初めは、新しい課題が出るたびに「何から手をつければよいのだろう」と立ち止まっていました。今は、目的を確かめ、作業を小さく分け、試した結果を記録してから次の判断をするようにしています。理解が追いつかない場面がなくなったわけではありません。それでも、困ったときの進め方を持てたことは、知識を一つ覚えることと同じくらい大きな変化でした。

特に変わったのは、資料の作り方とチームでの動き方です。設計書の作成では、読み手に伝わる説明を心がけ、要件定義書の内容を漏れなく反映することを意識するようになりました。模擬演習では、口頭で伝えただけでは認識がずれることを経験し、WBSや報告を使って進捗を共有する意味が分かりました。作業時間の見積もりも、実績との差を振り返りながら改善する習慣がついてきました。

また、予定通りに進まなかったときも、以前ほど慌てなくなりました。どこで時間を使ったのかを振り返り、必要なら早めに相談して計画を修正する。その積み重ねが、模擬演習での役割分担や情報共有に生きたと思います。同期の考え方から学び、講師の助言をもとに自分で確かめる経験を重ねたことで、一人で抱え込まずに進める姿勢も身につきました。 Bさんの論理的な説明やCさんの分かりやすい資料に刺激を受け、自分の考えを伝える方法も学びました。講師からヒントをもらって原因を調べる経験は、すぐに答えを求めるのではなく、自分で試す姿勢につながっています。

7. 終わりに|3ヶ月間で得られた成長

本コラムでは、プログラミング未経験の新入社員が、3ヶ月間のABAP研修を通して技術と仕事の進め方を学ぶ過程をご紹介しました。ABAPの基礎学習から設計・実装・テスト、同期との模擬開発へと段階を踏むことで、知識だけでなく、問題を整理する力、計画を見直す力、相手に伝える力を磨いていく様子が伝われば幸いです。

人事・育成担当者の方にとっては、研修でどんな言語や機能を学ぶかと同じくらい、つまずいたときにどう行動できるようになるかが重要ではないでしょうか。本事例では、質問の仕方、日報での振り返り、設計書やテスト結果のまとめ方、同期との調整という日々の学習が、最後のチーム開発へつながっています。

本事例は実例をもとに再構成したもので、受講生によって学習の進み方や成果は異なります。重要なのは、つまずいた場面でも適切な支援を受け、自分で考えて取り組む経験を積み重ねることです。

研修前後の受講生の変化

観点受講前研修修了時の変化
技術プログラミング未経験で、SAP・ABAPの知識がないABAPの基礎を学び、設計・実装・結合テストとチームでのアドオン開発を経験
問題解決・主体性原因をどこから調べればよいか分からない状況を整理し、デバッグや確認を行ったうえで質問・相談できるようになった
計画管理作業見積もりや進捗共有に不慣れ日報やWBSを使い、予定と実績の差や担当の抜け漏れを意識するようになった
説明・協働コードや考えを人に説明することに不安がある設計資料や発表資料を整え、同期とレビューしながら成果を説明できるようになった

新人SAP ABAP研修を検討している企業の皆様へ

新人SAP ABAP研修を検討する際は、扱う技術に加え、受講者の理解度をどう確認するか、つまずきをどう支えるか、企業へ何を報告するか、修了後の学習をどう継続するかが気になるところかと思います。

神田ITスクールでは、企業の育成方針と受講者の経験に合わせて研修をご案内します。受講者の経験、人数、研修期間、配属後に求める役割をお知らせください。新人Java研修の内容と到達目標について、お気軽にご相談いただけます。

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